「それは、お前が待っていてくれたからだ。
お前に会えて、俺は幸せ者だ…」
私の方が幸せ者だよ。
だって…
健太郎に会えたんだから。
気がつけば、二人の唇は重なっていた。
自然と瞳を瞑る。
温かく柔らかい、満たされる感覚。
唇が離れると、健太郎は私の髪に触れる。
結ばれていない、私の髪。
月明かりに照らされて、淡く栗色に透き通っている髪。
そんな私の髪を健太郎は、大切そうに触れる。
温かくて大きな手で。
「美しい髪だ」
私だけを見つめる優しい顔。
そんな顔を一人占めしてる私は、なんて贅沢なんだろう…。