「お前を、連れて行きたい場所があるんだ」


連れて行きたい場所…?


首を傾げる私。
いつもより、真剣なような顔の健太郎。


「昴。
鈴音を少しの間、連れ出しても良いか?」


「ええ。
早めに帰って来て下さいね」

「すまんな。礼を言う」


え、行ってもいいの?


「お姉様?」
「行ってらっしゃい」

お姉様は、ニッコリとそう言ってくれた。


「ありがとうございます」

初めて外に出られる。

あんまりにも嬉しくって、立ち上がった。


「鈴音。冷え始める時間だからこれを着て、裏口から静かに外へ出なさい」

寝間着の薄い着物の上に、もう一枚着物を羽織った。