暗い狭い世界でみんなそれぞれ恋をして、泣いて笑う…。

時には、同じ世界で生きてゆけないヒト達もいたわ。そこで終えてしまうヒトもね…。


私が他人の生き様に、口を挟む必要はないけれど…

例えどんな終わりを告げたとしても、後悔だけはして欲しくないの。

ただ それだけよ」


お姉様はそっと私の頭を撫でた。

私は小さく頷いた。
その時だった…






―――「鈴音」





窓の外に、健太郎の姿があった。


「健太郎…?」


幻とか幻覚じゃない、本物の健太郎。


「いらっしゃいませ」


とりあえず挨拶をしたお姉様。


「どうしたの?
まだ時間より早いよ」