「どうして?」
お姉様は咎めるワケでなく、優しくそう聞いた。
答えは、たった一つ。
「まだ 時間じゃないのに、もう… 一日が始まってしまうようで…
寂しいんです」
嫌なの、治らない自分の病気と寂しそうなお姉様方を見ているのが。
どうしてこんなに、世界は不平等なの…。
「鈴音」
気持ちを声にして、逃げるように俯いた私に、柔らかいお姉様の声が届いた。
「その気持ち、分かるわ。けれどね…
一日が始まらなければ、あなたは仲村様に会えないわよ?」
お姉様はそう言って、私の正面に座った。
健太郎と、会えないの…?