「お月様、綺麗…」

健太郎も見てるのかな?


モソモソッて、私は布団から出た。


まだ 薄暗くなり始めた夕方なのに、月が出てる。
なんか…、不思議。


私の部屋の窓から、よく見える。



――スススゥッ。


「鈴音、今日も体調は良好かしら?」

「はい、おかげさまで」


昴お姉様が部屋の襖を開けて、私の様子を見に来てくれた。

「よかったわ」

昴お姉様は、ニッコリと笑ってくれた。


「今日は、もう月が出てるわね」

綺麗だわ…。と、お姉様は遠い目で外を眺める。

「鈴音は…、嫌です」


嫌だ 嫌だ

嫌だよ、だって…