横を通り過ぎた子供の声。
子供の向かう先に居たのは、「お母さん」と呼ばれた女性。
「お母さん、まだ夜じゃないのにお月様が出てるよ?」
「これはね、夕月夜って言うの。夕方だけど、お月様が出るのよ」
「そうなの? お母さん凄いね!
お腹すいた~」
「はいはい。
今日は卵貰ったから、卵でご飯食べましょうね」
「わ~い!
僕 卵ご飯大好き!」
仲良く手を繋いで歩いて行く親子。
俺にはなかったモノだ…。憧れる光景。
夕月夜…。
そうか、随分と空が綺麗な訳だ。
俺は空を見上げたまま、足の赴くままに歩みを進めた。
そして、俺が辿り着いたのは…