俺は兄さんや優一と違って、頭脳よりも体力のが自信がある。
やれば出来ない事もないが…
あまり所望じゃない。
話す事もなくなり、俺は目線を書物に戻した。
優一も、俺の近くの棚で探しているようだ。
「なぁ…、健太郎」
ちょっとした静寂を優一が破った。
「何だ?」
優一の方へ目線を向けると、優一はしっかりと俺を見つめていた。
俺は思わず、書物を閉じた。
「今 君が感じているモノ、大切にして欲しい…」
俺が、感じているモノ…?
優一の目は揺るがず、俺を見つめたままだった。
「健太郎はまだ気付いてないのかもしれないけれど…
その想いは、理屈じゃないんだよ」
理屈…。