『言い付けを聞けぬなら出ていけ!』
『言われなくとも、出て行ってやるよ!』
一昔前
俺は父親にそう吐き捨てて荷物をまとめ、家を出た。
『待ってくれ…』
兄さん。と、差し伸ばされたまだ幼い手を無理矢理払い
『すまない、健太郎』
と、振り返りもせず闇に姿を眩ました。
唯一無二の弟を残して。
俺等 家族は、もうとっくに終わっていたんだ。
母が行方を眩ました頃から、俺等兄弟の日々は変わった。
何かと縛られては、強要される。
行動だけならまだしも、未来まで…。
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