「変わった様子はないか?」
鈴音の変わった様子…?
「特にはありません。
けれど…
鈴音の表情がやわらかくなってきたんですよ」
そう
鈴音はあの方に出会ってから、笑うようになった。
「ほほう。
それは良い事だ。
『病は気から』と言うぐらいだからな」
病は気から。
確かに、鈴音が笑うようになってからは、体調は良好な時が増えた。
人間の不思議なところよね。
自然と微笑みがこぼれてしまう。
「だが、ちゃんと気をつけろよ」
気をつける…?
「肺結核は、今の医学では治す術はないんだ。
血を吐く頃には、ひと月保つかどうか…」