「分かりずらかったら すまんな」


そう言って、健太郎は話し出した。



「とある山寺に、ケチで欲深な坊さんがいたんだ。

その坊さんは、水飴を作って自分一人で食っていた。

たくさん食っては、棚に置いて…。
一人いる小児(こちご)に
『これは、人が食うと死ぬ物だぞ』

と言って、食べさせなかったそうだ」


「意地悪なお坊さんだぁ…。
小児はどうしたの?」


「小児?
小児はもちろん『食べたい 食べたい』と言っていたそうだ」

「やっぱりそうだよね」


「ああ、水飴は贅沢品だからな。

だが…
ついに小児はある日
坊さんが余所へ出掛けている間にその水飴に手を出したんだ