さてと…。
もうじき夏が来るってのに、夜はやっぱ肌寒いな。
今夜は、健太郎でも誘ってくか。
優一は一生懸命勉強してっから、邪魔すんのは気が引けるしな。
「………ようです」
「誠か!」
オレはふと、仲村の屋敷の門の近くまで来たところで足を止めた。
健太郎の親父と…使用人か?話し声がする。
庭先で何話してんだ?
「健太郎め、勉強をしていると言うのは嘘であったか!
その話は確かなのだろうな!?」
「はい。
健太郎様が花月楼へ出入りするのを、何度かお見かけいたしました」
ちッ、バレてたか…。
厄介だな。
「くそッ。
どうせ、守谷と相馬の息子共に唆されたんじゃろう。」