「やぁ、健太郎」

気の抜けた返事が返って来た。

「そういえば、今日はおはようって挨拶すらしてなかったね」

「あぁ…、そうだな」

作られた笑顔の優一。
虚ろだ。


「なぁ、優一。
……どうしたんだ?」


優一と違って不器用な俺は、単刀直入にそう尋ねた。


「……昨日、鈴音から聞いてないのかい?」

鈴音から…?

「いや、何も聞いていない。
昨日の晩、向こうは忙しそうだったからな。
すぐ帰ってしまった」


そうかい…。
と、優一は小さくため息をついた。



「百合香が死んだんだ」