わたしは、雨の中をひとりで歩く。
空を見上げれば、灰色の雲の隙間から、ほんの僅かに青空が見えた。
『そう』と出会ったのも、こんな日だった気がする。
わたしは顔を前へ戻し、しっかりと足を踏み出した。


「入学、おめでとう!!」
この言葉と共に、わたしは去年の春、この中学校に入学した。
この辺ではまあまあ有名な、私立校だ。

わたしは、教室に入って、驚いた。
・・・すごい・・・。
これが、第1の感想。
目に飛び込んできたのは、とても賑やかに男子が教室を走り回っている光景だった。
わたしの小学校では、こんなに賑やかではなかったし、何よりも男子が、学校で一番おとなしい学年にあたっていたからだ。
今まで体験したことがないことだった。
しかし、わたしはおもしろそうと、1人どきどきしていた。
この胸に、僅かな不安をも抱きながら。