先輩が去った後の更衣室には甘いバニラの香りが充満していた。 まだ、クラスのコたちは誰も来ていない更衣室。 あたしたちが1番乗りだったのかな。 「栗原先輩っていい人なんだよね」 ポツリとあたしは呟く。 「うん、明るくて、いい人だとは思う」 舞もそこは素直に頷いた。 かわいくて、華奢で、太陽みたいに明るくて。 先輩が好きになるの、分かる気がする。 また暗い顔をしていたのか、舞はあたしの背中を優しく叩く。