圭は小声で、先輩に聞こえないように「もー大丈夫だな」って言って、廊下を走っていった。 その背中はなんだか眩しくて。 「けーいー!!」 「・・・?何?」 圭は少し驚いたように振り向く。 あたしは口パクで言った。 「ありがとう」 圭にも伝わったんだろう。 わずかに微笑むと、手をヒラヒラと振った。 面倒くさそうに、でも、気にすんなっていうふうに。