「うおおぉおぉぉお!待て凜太郎おおぉおぉぉお!」 「あれ、桐生くん。授業始まるぞ。」 廊下にいた担任に声をかけられた。 「授業なんて知るかあ!」 「え、」 「こちとら高校生活の思い出がかかってんだあ!」 「ええ…」 担任の情けない声を背中に受け、俺は走った。 やっと女子たちの群れに追い付いたが、凜太郎は見当たらない。 「なあ、凜太郎は?」 「それがどこにもいなくて。」 あいつ、上手く撒きやがったな。ちくしょう。