今のところ赤点はない。ギリギリの教科も多いが、赤点ではない。

「すげーじゃん桐生!」

国語のテストはまさかの70点台だった。

「やば!やればできるじゃん俺!」

「でもまだわかんねえぞ。数学残ってるからな。」

「…ああ。」

いよいよ残すは問題の数学のみ。

テストの返却が始まる。

俺の名前を呼ぶときだけ、センセーの声がワントーン下がった。

「桐生、残念。」

「…え、」

「惜しかったけどな、1点足りなかった。」

「…は、」

「先生も頑張って部分点かき集めたんだぞ。でもな、足りなかった。」

「…」

「夏休み補習だな。」

「嘘だろ…」

俺の夏が終わった。