「さあ、話の続きしよか。
 で、いくらくれる?」

「な、何を言ってるの?」

「話のわからん奴やな。このテープいくらで買ってくれるんやって聞いてんねん。」

「い、いくら欲しいの?」

真理亜の声が震えている。

「そうやな~、これくらいかな?」

と言いながら右手で[5]を現した。

真理亜は少し悩んだが、

「50万円ね。…わかったわ。」

その駆け引きに承諾した。

「へ??俺をおちょくってる?
0が1つ足らんよ。」

(え?!500万!!)

僕は驚きのあまり、声を張り上げそうになってしまった。

「そ、そんな、お金ある訳ないでしょ?!」

「お前が断っても俺はお前のおやじさんに頼みに行くで。
おやじさん、びっくりして泡ふくん違うか?」

男は冗談っぽく笑ってみせた。

「我が娘が好きな男のガールフレンドを襲わせた…やて。」

「や、やめてっ!」

真理亜が耳をふさぐ。

「あ~面白いわ。いつもの強気はどこへ行ったのかな?
はっはっはぁ~。」

完全に立場が逆転した。

「お願い、パパにだけは言わないで!」

もう真理亜に勝ち目はない。

うつむき、涙を流しながら必死で頼んでいる。

「3日後、ここに金持って来い。わかったな、お嬢ちゃん。」

立ちあがった男は真理亜の肩をポンとたたき、僕の前を通って店を出て行った。