「おいっ待てよ」
 
啓一の声も無視して、あたしは全力で走った。
 
泣き顔を見られたくなかった。
 
でも、啓一の方がやっぱり足は速くて…
 
「夏川」
 
すぐに追い付かれてしまった。
 
だけどあたしは、啓一に掴まれた腕を振り切って、更に逃げようとした。
 
その時…