カスミの意識が戻らず2日がたった。

その間、カスミの元にはたくさんの人が来ていた。

カスミの父も出張場所から急いでかけつけたが・・・カスミの容態は一向に変わらない。

「本当にありがとうございます。カスミの側にいてくれて・・・」

カスミの父が華音たちに頭を下げてきたのは、着いて早々だった。礼を言うカスミの父は優しそうな男で、カスミに少しだけ似ていた。

「頭をあげて下さい・・・私たちもカスミの側にいたかったから」

ずっと側にいて手を握っていたが・・・・カスミは未だに目を覚まさない。

「それにしても・・・たくさんのお花が・・・」

カスミの父が驚いたようにカスミの病室を見渡す。

カスミの病室はたくさんの花に囲まれていた。それらはカスミの親友たちが持ってきたものだった。

「私たちの花・・・なんですよ」

微かに微笑みながらさくらが話し出す。

「カスミも含めて、私たち友人には花の名が着く子が多いんです。わたしはさくら、他にも蘭に百合、ひまわりにアヤメに桔梗・・・」

他にもいっぱいいるんですと。その続きを華音が引き継ぐように話す。

「私は花の名がついていないんですが・・・名前が華の音で華音っていうんです。みんな花繋がりで・・・それで最初は仲良くなったんです・・・」

何もかもがバラバラな華音達。けれど初めて会った時から気が合っていた。懐かしそうに昔を振り返る華音。

「だから・・・・自分の名前の花を、みんな・・持ってきているんです」

私たちはここにいるからと・・・カスミに伝えるために。

「そうだったんですね・・・全然知りませんでした」

悲しそうに笑うカスミの父の姿が寂しかった。

「本当に・・・どうしようもない父親でした・・・」

そう言って遠くを見るカスミの父からは、カスミへの愛が確かに感じられている。元気なうちにもっと話せば良かった・・・。後悔しても後悔しても戻らない時を、誰もがみんな悔やんでいる。

「カスミ・・・カスミ・・・戻ってきてよ」

誰が呟いたのか分からない言葉は、皆の気持ちを表していた。