比奈の体は柔らかくて―――甘い香りがふわりと漂ってきた。


彼女が愛用していた香水の香りだ。






周の香りとはまるきり違う―――


周の感触とはまるで違う―――


周とは―――






そこまで考えて、俺ははじめて比べるものじゃないと気付いた。




そう、最初から比べてはいけないものだったんだ。




あいつはありのままの俺を受け入れてくれた。


ありのままの俺を求めてくれた。


そしていつだってストレート過ぎる愛情を俺に注いでくれた。




あいつの前では素直に笑ったり怒ったり。


ドキドキしたり、気持ちよかったり―――


はじめての感情ばかり見つけ出して最初は戸惑ったものの、それが今では心地良い。






男とか女とか―――………





あいつは俺の前に現れたときから男とか女とか以前の問題よりも―――特別で、


あいつが何者で誰であろうが





俺の中はあいつで溢れていた。





俺は―――あいつが好きなんだ―――………