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「おはよ~ございまぁす。桐ヶ谷主任♪」
明るい女の子笑顔が眩しい……
なんともない日常が、なんかキラキラして見えるんだけど。
それもこれもあのワケのわからん変態男のせいだ!
「おはよう」
軽い挨拶を交わしてデスクにつくと、隣の席に座っていた事務員の女の子が、
「あれ?主任、昨日と同じワイシャツ~。意味深~」と意地悪そうに笑った。
え゛!?
そう言えば昨日はあの変態男のところに成り行きとは言え泊まったから……
そんでもって……
いや、このあとは思い出したくない。
とにかく男とナニかあったなんて言えやしねぇ。
「あ、あはは~」曖昧に笑いながら返して、前を向くと隣のデスクの群で比奈とばっちり目が合ってしまった。
比奈はちょっとだけ険悪な視線で俺を睨むと、ふいと視線を逸らす。
ひ、比奈!こ、これにはワケがあって!!
なんて心の中で言い訳するも、今更言い訳するのも変か。
俺とあいつはもう終わったんだ。
それでも俺は比奈のことを早々忘れられそうにない。
ああ…比奈ぁ。
未練がましい気持ちを引きずりながらも、その日はなんとか仕事を終えることになった。