「風間悠果里の相手が瀬野公平ならファンも納得するだろ。」


「確かにファン受けはいいと思いますが、二人はライバル会社のCMに出演しているのでその辺の根回しが大変かと...」


沙織里は最もな意見を言った。


二人が結婚するとなるとどちらかがCMの契約を打ち切らなければならない。


そうすると違約金が発生し事務所に多大な損害を与えるのだ。


「公平がCM契約を打ち切るなんて考えられない。」


仕事人間である公平が契約を切る訳がないことを悠果里はわかっていた。


「だったらお前はCMより格下って訳だ。そんな男との結婚は考えるな。今すぐ別れろ。」


聡は冷静な口調で言った。


それを聞いた悠果里はショックを受け、黙り込んでしまった。


「社長、今日のところはこの辺で私たち失礼します!」


悠果里の気持ちを察した沙織里は悠果里を強引に社長室から連れ出した。


「そんなショック受けることないわよ。社長はあんたが幸せになることを一番願ってるんだから。」

沙織里の語りかけに悠果里は無言で聞いていた。


「ほら、帰ろう。今日はゆっくり疲れをとって、明日からまたがんがん働いてもらうわよ〜!」


沙織里はやけに明るく言った。


「お姉ちゃん...公平は本当に結婚する気ないのかな?」


悠果里が重い口を開いた。


「聞いてみたら?」


「それじゃあプロポーズになっちゃうよ!」


「いいじゃない。今どき女からプロポーズとか普通のことよ?あんた何時代の人よ〜笑」


「それでもし断られたら?」


「その時はまた考えましょう!」