ドラマの撮影現場では公平が演じる主人公と葵が演じるヒロインとのキスシーンの撮影の本番真っ最中｡


現場全体に緊張感が走り､監督の藤田をはじめとするスタッフのほぼ全員がモニターに釘付けになっている｡


セットでは公平と葵が本物の恋人のように見つめ合い､《キスまでの距離》を縮め...


そして互いにの唇が触れた瞬間


葵が崩れ落ちるようにその場に倒れこんだ｡


演出にはない展開｡


「葵ちゃん！葵ちゃん！」


公平は葵に駆け寄り必死に葵に呼びかけた｡


「おい!一旦止めろ！」


藤田の怒声が響き渡り､葵のマネージャーやスタッフがセットに入ってきた｡


「おい!医務室行って先生呼んで来い!」


藤田は近くにいたスタッフの一人に言った｡


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「過労ですね｡点滴を打って休めば回復しますよ｡」


駆け付けた医師が心配ないこてを話すと現場にいた皆が胸を撫で下ろした｡


「よし､今日は葵ちゃんは早退｡」


「私､大丈夫です!撮影に穴あける訳には...」