悠果里は帰国早々に泣き喚き、疲れているはずなのにベッドに入ってもなかなか眠れずにいた。


枕元に置いた携帯を開いてはセンターにメールがないか確認する。

もちろん待っているのは公平からの謝罪メールだ。


「信じられない。メールぐらいよこしなさいよ!」


「ねえ、起きてる?」


公園から帰った沙織里が悠果里の部屋のドアを開けた。


沙織里がドアを開けると同時に悠果里は布団を頭から被った。


しかし沙織里にはバレバレだ。


「あいつ、本当に待ってたわよ。早く行かないと職質されるかも。おやすみ。」


沙織里はそれだけ言って、自室へ戻っていった。


沙織里の言葉を聞いて、余計に眠れなくなった悠果里はテレビをつけた。


「うわっ」


しかし、たまたまつけたチャンネルは何と二人が初めて共演したドラマの再放送。


悠果里はすぐ消そうとしたものの画面の中の二人につい見入ってしまった。


大学での留年が決まり、世間からのバッシングが酷かった時に公平に出会った。


『留年するなら大学なんかに行かなければ良かったのに』

『演技に集中しろ』

『早稲田にはコネ入学、女優業に限界が来た時の保険』

などといった記事が出回り、悠果里は本気で引退も考えていた。


『このドラマがこけたらもう女優は辞めよう。』


そう思って挑んだドラマが公平との共演したこの作品だった。