沙織里からの電話の後、公平は悠果里の自宅に程近い公園で待っていた。


季節は11月―
肌寒くない訳はなく...


上下黒のジャージに帽子を目深にかぶり、サングラスをかけている公平は誰がどう見ても<不審者>だ。


そんな公平はタバコをすいながらブランコに腰掛け、ぶるぶる震えていた。


何回も公園の入り口に行き、悠果里が来ないか確かめるが、来る気配はない。


「本当に待ってたんだ。」


そのうち眠気に襲われ、意識が朦朧とする中、公平は女の声で目を覚ました。


ハッとして目をあけると悠果里ではなく沙織里が仁王立ちで立っていた。


「なんだ、沙織里さんか。」


公平の顔は落胆の色。


「なんだって失礼ね!」


「すいません。あの、悠果里は?」


「あれは機嫌直すのにだいぶ時間かかるわよ〜!」


悠果里は公平が座っている隣のブランコに腰をおろした。


「もしかして別れるとか言ってます?」


「まあね〜。姉としては複雑なところよ。」


マネージャーである沙織里にとっては二人の関係が公になる前に別れてくれるのが一番良い話。


しかし、姉の立場から考えると妹に幸せになって欲しい。


「すいません。俺があいつのプロポーズ断ったんです。」


「あんたは別れたいの?」