撮影が終わったのは公平の予想通り深夜0時をまわったところだった。


楽屋に戻り私服に着替えた公平は再び大介が運転する車に乗り込んだ。


「やっと終わった〜」


「お疲れした!あっ、公平さん楽屋で携帯鳴ってましたよ。」


公平が今どき珍しい折り畳み式の携帯をあけると液晶には<風間悠果里>と表示されていた。


その表示を見て公平は笑みを浮かべた。


「あっ、悠果里さんすか?」


バックミラー越しに公平の笑顔を見た大介は心配そうに聞いた。


「ああ。あいつ帰って来たんだな。」


「くれぐれも会う時は気をつけて下さいよ!今、パパラッチに撮られたら...」


「わかってるよ。」


公平はうんざりしたように返事をすると悠果里に電話をした。


しかし、留守電。


「あいつ何やってるんだよ。」


「出ないんすか?」


「多分、寝てるな。」


「残念でしたね。笑」


「お前何か嬉しそうだな。」