「…いるよ」

心臓がえぐられる感じがした。

聞かなきゃ良かった。

やっぱりナツにも好きな人ぐらい…いるよね

「どんな…人?」

でもナツの好きな人はどんな人か気になったんだ。

「…優しくて、おもしろいやつ…かな」

優しくておもしろい…か。

いいなあ…
ナツに大切に思われてるんだから。そのこになりたい…

「お前は?お前は好きなやついんの?」

「うん…いるよ」

好きな人はナツだよ。
ッていいたいけど…
ナツに好きな人がいるッてわかった以上私は言えない。

「へえ…どんなやつ?」

「かっこよくて、すごく優しいの。ナツとは正反対の人だよ」

嘘をついた。
ナツも勿論かっこよくて優しい。
だけど、だけど…
本当のことを言いたくなかった。