ケータイを握りしめて、

うずくまって泣いた。

子どものようにしゃくりあげて泣くあたしの傍らに、

敦さんがしゃがんで、

背中をさすってくれた。

そういえば敦さんいたな、

なんて失礼なことを思ったけど、

正直今独りじゃないことにほっとした。





敦さんはタクちゃんとの別れ際のひどい言葉については触れなかった。

ひどい女って思ってるかな、

と疑心暗鬼にもなったけど、

敦さんがいつも通りに話してくれて、

嬉しかった。

世界でいちばん最低な人間になった気分だったけど、

そうでもないかもしれない。

敦さんとそのまま夜が明けるまで話した。

他愛もないことばかり話したけれど、

こんな風に夜明けを迎えたのは高校のとき澪の家に泊まって以来だった。

隣にいるのは澪でもタクちゃんでもない。

…あの日から、

確かに時間が動いていることを、

今さらだけど感じられた。