…身体が、こわばった。
絞り出すように答える。
『いえ、何も…』
そう言ったあたしの言葉を聞いていたのかいなかったのか、
あたしが言い切る前に敦さんは間髪いれずに言った。
『タクは、やめときな』
もう6月下旬、
夕方とはいえ外はまだ明るさを残している。
なのにどうして、
この部屋はこんなに暗いのだろう。
お互いの表情が見えない中敦さんは言った。
『あいつ、去年も後輩に手を出した。一歩間違えれば妊娠するようなことまで…』
ああ、そういえばあの日、タクさんに抱かれた晩、
あたしは避妊してもらえなかったなぁ。
ぼんやりとまるで他人事のように思った。
彼女さんには、
避妊してるんだろうな。
…“大切”だから。