タクさんの腕の中で、

あたしはずっと泣いていた。

幸せで悲しくて、

もうわけがわからない。




…そしてとうとう言ってしまった。

ずっと、ずっと、

澪の秘密以上に、

心の奥底に閉じこめていたことを。







『あたし、本当は苦しくて苦しくて仕方ないんです。



…タクちゃんの存在が』









もう戻れない。

何も知らず澪とタクちゃんと笑い合ったあの日から、

ずいぶん遠く離れてしまった。

そしてこの一言で、

あたしはもう、

誰の元にも還れない。

誰の元にも、

あたしの居場所はない。