『え…?』
戸惑いが隠せない。
起き上がると、
そこにいたのは敦さんだった。
敦さんも驚いていた。
あたしが完全に寝ていたと思っていたようだ。
けれど、もう歯止めはきかなかったのだ。
『美生ちゃん、俺じゃだめ?お願いだ、俺を、選んで』
あたしはしばらく何も言えなかった。
唐突すぎるっていうこともあったけれど、
そんなことはどうだってよかった。
『…敦さんだって…』
『え…?』
『敦さんだって、いつかあたしを独りにするでしょう!』
…澪も、タクさんも、あたしのことをすきだと言ってくれた。
なのに。
どうして、どうして。
どうしてあたしを最後には置いていくの…?
泣きじゃくるあたしを、
敦さんは、
強く強く抱きしめた。
『俺は置いてったりしない…美生ちゃんを独りになんかしない…!だから、だから…俺を、選んで…?』
敦さんに抱きしめられて、
あたしが想うのは、
どうして、
タクさんなんだろう。