私はスッと懐に手を伸ばした。


「……じゃあ、私からも一つお聞きしていいですか?」


「あぁ。いいとも。」


「ありがとうございます」


私はにこりと微笑んだ。


「さっきからというか最初から隠れて傍観されてる人たちはどなたですか?」


そう聞きながら手を動かし、人の気配が丸分かりの3箇所に薄い紙のような形状の刃を投げつけた。

カッ、カッ、カッ


そして最後に、他の3箇所よりも薄い、だけど確かに人の気配を感じる真上に刃を飛ばした。

カッ………!!


……………。


部屋に流れる沈黙。


目の前にいる彼は目を見開いているけれど。


今はどうでもいい。


……………。


……出てこない……か。



「ねぇ、そろそろ出てきていただけませんか?いるの丸わかりですよ?」



……………。

呼び掛けるがそれでも出てこない。

ったく頑固だな……。



目の前の男に視線を戻し、口を開く。


「あなたからも出てくるよう言っていただけませんか?あなたのお仲間なんでしょう??」



「……………。」


だが、目の前の男は私を凝視するだけで。


はぁ……。仕方ない。


「あと十数えるうちに出てこなければ首、手足 いずれか飛ぶと思ってくださいね?死にたいですか??」

ま 出てきてもどのみち殺すけどね。



「じゃ いきますよ??10………9………。」



そこでハッとなった男が口を開いた。


「トシ、みんな、出てきてくれ。」