―京華side―
人がいる気配はあったけど。
……こいつだったんだ。でも、もう1つ……。視線をちらっと動かすと通路に出る角のところにこちらを見る男がいた。
「……お、沖田様!?」
麗那は、驚きすぎて固まった。
……気づいてなかったんだ。
……でも、なんで沖田総真が?
沖田総真は手刀でお嬢様の手を軽く叩きナイフを地面に落とした。
「で??君達、何してるの?」
たぶん、輝かしいほど見事に恐ろしいと分類される笑顔なんだと思う。
でも、このバカなお嬢様達は普通に人当たりのいい笑顔だと認識してる。
……なんだろう……?これは、殺気?怒気?
なんでこいつが怒ってるんだろう。
「よってたかって、抵抗なしの女の子をいじめてたの?こんなものまで持ち出して。」
地面に落ちたナイフに視線を向けて沖田総真が問う。
「ち……違うんです!沖田様…!」
麗那が慌てて言い訳する。
「なにが違うの?」
「……………。」
「いじめてたわけじゃなくて……ね!?話してただけなんです!」
取り巻き加奈がお嬢様を庇う。