初めて俺の前で笑った時のあいつは、とても綺麗だった。
人を斬ってきたとは、到底思えないような優しい顔だった。
一度笑ってからは、あいつは思い出したようによく笑うようになった。
今まで笑えなかった時間を埋めるようでもあった。
なのに、
全部忘れちまったのかよ
また笑えなくなっちまったのか
俺達は 前世の記憶があったから、前のように人を斬ることで苦悩することもなかったが、すべて忘れちまってるあいつは、また同じことで苦しんでるのか。
また 初めて会った時に戻っちまったのか。
そう思うとやりきれなかった。
「副長?」
「……!……わりぃ。ありがとな。一磨。」
「……いえ。」
「「…………。」」
「……まったく、情けないですね」
黙り込む俺と近藤さんを見て
総真が口を開いた。
「何をへこんでるんですか?近藤さんはともかく、土方さんは真面目に気持ち悪いのでやめてください」
は……!?
総真の野郎……
こっちは真面目に
考えてるっつーのに……。
気持ち悪いたぁ……。
しかも、俺だけ。
確かに、こいつが近藤さんに心酔してんのは昔からでその総真が近藤さんに気持ち悪いなんて絶対ありえないんだがよ。
ついでに言うと、こいつの俺の扱いも昔からだ。
何度怒鳴り回したかしれねぇ。
「……うるせぇよ。馬鹿野郎」
いつもなら言い返すのだが、今日はなぜかその気になれなかった。
言い返すかわりに、総真を睨み付けた。