何年も会ってなかったのが嘘のように、彼女といると空気が和らぐ。

しかしゆっくりもしていられない事に華音は気付いた。

彼女もその事に気付いたのだろう。華音に向き直ると。

「おめでとう・・・で良いのかな?」

華音の大好きな笑顔で彼女が言った。

「・・・・何でここにいるの?」

頷けない華音は、質問に質問で返してしまう。

華音の様子から、めでたくない事は誰が見ても分かる。彼女は優しく笑うと何故ここにいるのかを話し始めた。

「百合から聞いたの。・・・自分たちではもうどうにもできない。でも華音が笑わなくなったのは見ていられない。って・・・・だから私が来たの」

結婚が決まって以来、遊ぶたびに何か言いたそうだった百合を思い出す。

「本当にそれで華音は幸せなの?そう言ってたよ。ねぇ、かのちゃんもう一回聞くよ?おめでとうで良いの?」

彼女の目を見る事ができなかった。他の友人にそう聞かれた時は「悠々自適に過ごすから良いよ」と言えたのに、彼女にはそれが言えない。

昔から彼女にだけは嘘がつけなかったのだ。

彼女は何も言わず、ただ華音の返事を待っている。

華音の中で何かが動いた音がした。