彼女は俺のことを睨み泣きながら教室を出て行った。

おれは気がつくと彼女を追いかけその細い腕をつかんでいた。

「何?」

「あれは違うんだ」

「ちがうってなにがよ」
「もう私に話しかけないで」

「あれは、ただ…」

「ただなによ」
「他の男子に頼まれて話しかけた、とでもいうつもり?」

「そんなんじゃ…」

「そうよね、頼まれたからってこんなブスに話しかけたりしないわよね」

「違うって言ってるだろ」
「あれは俺が自分の意志でお前、いやかほにはなしかけたんだ」

「ふっ、作り話もいいとこよ」

「作り話なんかじゃない」