触れなかった。

多分見て見ぬフリってやつ?
例えダイが痩せていこうと、少しずつ歯車がずれていこうと触れなかった。


それ程2人の関係がドロドロしたものだったからかもしれない。


泊まりに行っては、抱き合った。
泊まりに行った日は必ず私を抱いた。
そして私は抱かれた。


私を抱きながらダイは言う。


「愛してる」って。
「俺がいるから」って。
「寂しくなんかさせない」って。


その言葉を聞く度、私の心は満たされる。




ある日を境にダイはずっと家にいるようになった。2日に1回行く家には、いつもダイがいた。

バイトは?学校は?と聞くと


「バイトは辞めた。学校はダルい」


笑いながら言ったつもりかもしれないが、その顔ダルい笑ってない。


だからというわけじゃないが、そのことについてはスルーした。



一緒にいられる時間が増えて良かった。ぐらいにしか考えてなかった。


薄々気づいてた。

どんどん痩せていった理由を。

過剰な程私を求める理由も。

綺麗好きだった部屋が汚くなる理由を。

目がうつろな理由もーーーーー



現実的じゃないけど、馬鹿じゃない私は分かってた。でも、言ったら目の前から居なくなってしまいそうで言えなかった。