―――「まだ、ここに住んでいるわよ」

―――「やーね、早く出て行ってくれないかしら」



―――「「人殺し」」




ママは、強い人だった。

近所の人の前を通るとき、
いつも私の耳をふさいで

ただ微笑んでいた。




つい先日まで、
笑顔で食卓をかこんでいた。

パパが帰ってくるのを
いつも玄関で待っていた。




「パパまだ帰ってこないの?」

「もう少しよ」

そんな会話を、
何も考えずこれからも続けていきたかった。




そんなこともう二度と許されない。




パパは、もう二度と

パパには戻れないから。