「そっかそっか!水野ちゃんは、暗闇が怖いのかー…。
俺的にはそろそろ手を離そうかと思ってたんだけど、怖いならしょうがないよね?
手を繋いで帰ろうかっ」
「…は、いや、全然暗闇なんてっ」
そう言いながら、さっき握られた手には外れないようにか
やんわりと力が込められて、離すことが出来なくなっている。
「……、離してください、別に私はっ」
「まあまあ、そんなに恥ずかしがらなくても」
「…は、恥ずかしがってなんて、ないですからっ……っ」
ブンブン振ってみるけど、やはり外れることはなくて……
副会長はそんな慌てる私を見ながら、ははっと楽しそうに笑っていた。
そんなこんなで、副会長は結局…
家に着くまで右手は離してくれず…。
やっと手を離したのは………
「はい…とーちゃくっ」
私の家に着いてからだった。
副会長の手が離れるとすぐに家の門まで走ると、ガチャと鍵を閉めた。
「…ぷっ。早いね、家に入るの」
「い、いいじゃないですか、別に…。
…とにかく、家まで送って下さって、ありがとうございました…。でも、もう二度とこんなことしないでくださいっ」
「はいはい…じゃあ、また明日ね♪水野ちゃん」
そんな風に言うと、ヒラヒラと手を振りながら来た道を戻っていった。
くうっ……。
絶対、聞いていないパターンだよ…もう……。
闇に消えていく、副会長の背中を見つめながら、小さくため息をついた。