「…真っ暗だねー」
「…そうですね」
そして、冒頭に戻るんだけど…。
真っ暗になったいつもの帰り道を歩く。
生徒はあまりいなく、いたとしてもちらちらと見えるのは多分、部活帰りの人だと思う。
「…あの、やっぱり私、一人で…」
「はあーー…まだ言ってるの?そんなこと…」
私の一歩先を歩くダサ男、いや副会長が不機嫌そうな顔で振り向いた。
「…だいたい、こんな変装までしてるから心配することないと思うけど?」
「…そ、それは大丈夫だと思うんですけど」
そう…副会長がバレないということは確信できたからいいんだけど…。
ただ、副会長の家が逆方向にあるからいいのかなあっという不安があって。
うーーーん…と、どーでもいいことを考える私を、さも面白くなさそうに見つめる副会長。
それにしても、なんでこんなことに……。
大嫌いな副会長と一緒に帰るなんて、最悪すぎるよ。
そんな中、本当に面白くなさそうに眺めてくる副会長の顔が目に入った。
「…んー、なんでそんな下ばっかりみてるの?」
「…いや、その…」
黙り混む私に一歩近づくと、覗き込むように身体を折り曲げた。
…だけど、まあその時の顔といったら……。
「……あっ」
「…へ?」
「………水野ちゃん…正直に言ってもいいんだよ?」
「…な、何をですか?」
「だーかーら、…暗闇が怖いんでしょ?
しょーがないなあ、水野ちゃんは♪」
「……はい?」
い、今なんて??
ってか、とんでもない間違いしてますけどっ!?
副会長の爆弾発言にびっくりして、ばっと顔を上げてみるけど、すでに遅く………。
歩きを止めた副会長は、私を見てニッコリと、それも面白いものを見つけたとでもいうように笑顔を作った。