ジワッと涙が出そうになるのを堪えて、泣かない代わりに副会長を睨んだ。



「………。」

「…何、睨んでんの?」



私の視線に気づいたらしく、ん?と顔を傾ける。



だけど私は、一緒に帰ることだけは阻止したい為………ひたすら睨んでいた。



「………。」

「……ねえ、疲れない?睨むの…」

「…………。」

「…水野ちゃん、かわいいーね」

「っ………。」




急にそんなこと………。




一瞬で無表情から、頬が熱を帯びていくのが分かった。




「あはははっ、やっぱり面白いねー」




反応を楽しんでる副会長に、ふいっと目を背けると入口に歩いていった。

ついでに掴んでる手も解いて。




「…っ、本当にもう結構ですから…
心配しなくても、私1人で帰れますので」

「まあまあ、そんなこと言わないで…ちょっと待ってよ。
今、いいこと思いついたから♪」



そう言って、再び私の手を掴む副会長。





……そのいいことって、すっごく嫌な予感しかしないんだけど………





「大丈夫♪♪きっとバレないよ」

「………はあ」




不安な顔をしてたのか、副会長は付け足すようにそう言うと



持っている鞄の中から黒淵眼鏡を取り出すと『行こうか』と靴箱に歩いていった。