「そんなこと、ある訳ないだろ」

 視線を外して応える。

 本当は、あいつの言葉に酷く動揺して引き込まれそうになっていた。

 初めから手に入らないものが得られるとなれば、強烈に心を突き刺すに決まっている。

「そうか」

 デイトリアは問い詰める事もなく、それきり黙り込んだ。