「それよりも、どうすりゃいいのよ。デイトリアを捕まえることなんて無理っぽいわ」

 ため息混じりに肩をすくめた。

「じゃあ、次は私がやってみようかな」

「ファリスが?」

 マリレーヌはいぶかしげに薄笑いを浮かべているファリスを見やった。

 将ではあるにしても、彼はむしろ学者肌だ。

 二人は彼の知識には感服しているものの、少々面倒な性格に呆れてもいる。

 今まで自ら動こうとはしなかったファリスも、ようやく重い腰を上げたらしい。

「何か良い手でもあるのかい?」

 そう尋ねるギルに視線を合わせて再び笑みを見せる。

「奴の弱点──というよりも、人間の弱い部分に攻撃を仕掛けるのさ」

 意味深に発したファリスに二人は首をかしげ顔を見合わせた。