──暗く殺風景な世界は、決して人は住めないだろうと思わせる。

「一体いつ、人間界に進軍なさるのです。下僕たちが待ちきれずに今にも暴れ出しそうです」

 ルーインは玉座に腰を落としている魔王にひざまづき意見した。

「まだいいじゃないか。わたしのおかげでこっちは優勢なんだから」

 肘を突いて薄笑いで発した勇介(ガデス)にピクリと片眉を上げる。

「確かにあんたが魔王になったことでこっちは陽の光を気にしなくて済むぶん優位だが、相手に猶予を与えている今の状況はいただけない」

 魔王らしからぬ物言いにルーインも言葉を崩した。

「なるほど、それもそうだな。しかし向こうにはデイがいる。彼をこちらに引き込んでさらに優位に立ちたい」