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―――…猫は死期を悟ると飼い主の目の前からいなくなるって言い伝えがある。
 
 

実際に聞いた話。

一週間家を空けていた飼い猫が、後日近所の家の木の下で息を引き取っていたそうな。


その猫を飼っていた友達曰く、外に出た猫は誰も来ない静かな場所、つまり自分の縄張りで休養を取り、日々を過ごすとか。

飼い猫は特に静寂を好んでいたから、静かに最期を迎えたかったのかもしれない。


悲しげに語っていたのを思い出す。


なるほど、猫ってのは本能で死期を察しているんだな。


まあ、そんな俺自身も今、死期(消期?)を悟っている。なんでかなぁ、なんとなく分かっちまうんだよ。


だけど俺は猫のように、世話になった人達の前から何も言わず、消えるわけにはいかない。いかないんだ。


それが世話を焼いてくれた彼等へのお礼であり、約束そのものなんだから。