「じゃあ、作ろう!」
「やですよ、めんどくさい。存在しないことになっているほうが、仕事が楽に進むので」
ミナナの仕事もまた殺し屋であった。
彼の場合は、世界各国を動くために、身分証獲得よろしく偽の国籍を持っているのだろうが、ミナナの場合はそれほど大きな移動はないために身分証を作成はしていなかった。
市役所で見れば、ミナナは出生すらもしていないはず。
「じゃあ、結婚できないじゃないか」
「珍しいですね。結婚という形式にこだわるなんて」
――そんな性格だったかな。
少なくとも、今まで結婚という形式を出さなかったはずだった。それがどうしてこんなにも、とミナナの興味をそそった。