「……」
とりあえずは、目眩を感じる履歴書を破り捨ててみた。
「採用だね!」
「あなたの思考回路を探りたいですね」
意味も分からないふざけた履歴書と共にあったのは婚姻届だった。
そちらを見れば、もう必要事項には彼の名前があり、あとはミナナの名前を書き込み、役所に出せばいいのだろう。
――結婚において、履歴書を添えるとは。
笑うべきか危ぶまれた。
どうせこの婚姻届を破ろうとも、また新たに出すだろう。
現に、彼は履歴書の二枚目を出していた。
「俺ほどになれば即採用に決まっているよね。何せ、ミナナは俺を愛しているのだから。貯蓄もありったけあるし、将来安泰。もう隠居生活もできるし、リゾートあたりで二人だけの生活をしようか」