「極端ですね」
「愛する者のためならば、法も怖くない。俺にとってはミナナが全て。ミナナこそが世界であり、法律なんだ」
「私が、周りを殺さないで、心中しようと言ったら?」
「ミナナはそんな性格じゃないと知っているから、考えない」
すりすりと頬擦りをしてきた彼の言い分には、確かにと口を閉じた。
ミナナにとっても、この物語の心中は一種のコメディだった。
仮にも愛する人ができたならば、周りが反対しようとも突っ切るであろう。
――周りなんて、あんまりいないけど。
だから仮にもの話になるわけであるが、想像するに、きっと自分は“そんなこと程度”で死に行くほど繊細な生き物ではないのだ。