【愛に溺れて、愛さない】


裸だった。
両者共々。


先ほどまで二人して息を荒くしていたが、やっと落ち着いてきたところだろうか。


ベッドからは独特な臭いが広がるが、さして気にせずミナナは息をその場で吸い続けた。


「ミナナ……」


彼の顔を見ないようにわざと反対側に横向きになったのに、後ろからぎゅうとされた。


別段、ミナナにとっては性欲処理に過ぎずとも、彼にとっては一大イベントに近いらしく、事が済んでもこうして引っ付いてくるのだ。


いつもなら、煩わしいと思えるが、あんな悦楽を味わった手前、ミナナの脳内――理性は欠けていた。


彼の好きなようにさせる。


耳を舐めてきたり、うなじを吸ってみたり、髪を撫でたり、くすぐったいことしかされなかったが、感度が上がっている体にとってはビクビクと反応してしまう。